目次
最近の研究トピックス(2017年7月更新)
分散MIMOネットワーク
小セル化
移動無線通信の設計は,ある程度の同一周波干渉を許容して同一無線帯域を再利用することで面的スペクトル利用効率(bps/Hz/km2)の向上を図るセルラー概念[1]に基づいている.面的スペクトル利用効率の向上は,我々無線研究技術者にとっての永遠の課題であり,第5世代ではその画期的な向上が求められている.最近はこれに加え,送信電力問題(あるいは無線エネルギー問題)が加わった.データ通信速度の高速化は送信電力(無線エネルギー消費)の増大につながるからである.特に,バッテリー駆動の無線端末にとって深刻な問題である.
面的スペクトル利用効率と無線エネルギー利用効率の同時向上に有望な方策は,無線セル(最大通信距離)をさらに縮小する小セル化である[2].小セル化により,同一無線帯域をより近くで再利用できるようになるから面的スペクトル利用効率を向上できる.より近距離の無線通信になるから更に低い送信電力で高速通信が可能となり,無線エネルギー利用効率も同時に向上できる.
分散MIMOネットワーク
単純な小セル化では,ユーザの移動によりハンドオーバーが頻繁に発生してしまう.これを避ける2つのアプローチがある[3], [4](図1).一つは,従来のマクロセル基地局に多数のアンテナを集中配置する集中MIMOネットワークである[5].集中MIMOネットワークの各基地局では極細ビームにより,従来のマクロセル内に超多数の仮想小セルを形成する.もう1つは,超多数のアンテナを従来のマクロセル内に分散配置させる分散MIMOネットワークである.各ユーザ端末には近傍の数本の分散アンテナを適応選択して利用させる(このような無線ネットワークは,分散アンテナネットワーク(DAN)[6-8]とも呼んでいる).ユーザ端末近傍の分散アンテナを適応選択することでシャドウイングの影響を軽減できるから,集中MIMOネットワークに比べマクロセル全体に亘って通信品質を向上できる.
端末を中心とする仮想小セルのダイナミック形成
信号処理機能や無線資源管理機能を1カ所(マクロ基地局)に集中させる(図2).ユーザ端末近傍のいくつかの分散アンテナを伝搬環境の変化に適応させて選択することでユーザ端末を中心とした仮想小セルを形成し,選択した複数アンテナを協調させて信号伝送する.これはLTE-AdvancedにおけるCoMP [9]の発展形と見做せる.集中MIMOネットワークと同様にスケジューリング(ユーザ選択とアンテナ選択)をマクロ基地局で行うことで,マクロセル内でのハンドオーバー問題をアンテナ選択問題に置き換えできる.
極短距離通信になるので伝搬損の問題が解決できる(集中MIMOネットワークではアンテナ利得増大により伝搬損失を相殺).そうなれば,これまで伝搬損が大きいことから利用できなかったセンチ波帯やミリ波帯などの,より広い帯域幅の利用が可能な周波数帯を利用できる.ミリ波帯では100MHzを超える帯域幅が利用可能になるかも知れない.アンテナ当たりの同時接続ユーザ数は数人程度であろうからユーザ当たりの通信帯域幅を広くでき,格段の高速化が期待できる.
分散MIMO協調信号伝送
100MHzを超える広帯域チャネルを用いる第5世代の無線伝搬路は周波数選択性がかなり強くなる(図3).このため,強力なチャネル等化が必須であり,周波数領域等化(FDE)に期待できる.チャネル等化のためには無線伝搬路の構造を表す情報(チャネル情報)が必要で,高精度なチャネル推定が要求される.送受信に同じ搬送波周波数を用いる時分割複信(TDD)を用いれば,上りリンク(端末→BS側)のチャネル推定結果を下りリンク(BS側→端末)送信に再利用できる(図4).このことから,チャネル等化などで必要になる各ユーザ端末のチャネル情報をマクロセル基地局(MBS)に集約して持たせることができる.
そこで我々の研究グループでは,マクロセル基地局にチャネル等化機能を持たせた分散MIMO協調信号伝送(シングルユーザMIMOダイバーシチ,マルチユーザMIMOとブラインドSLM,チャネル推定,セル間干渉調整など)を検討している(図5).最近の研究成果は文献[10]にまとめられている.
参考文献
- W.C. Jakes, Jr. (Ed.), Microwave Mobile Communications, Wiley, New York, 1974.
- F. Adachi, “Wireless optical convergence enables spectrum-energy efficient wireless networks,” Proc. 2014 International Topical Meeting on Microwave Photonics (MWP) and the 2014 9th Asia-Pacific Microwave Photonics Conference (APMP), pp. 3 – 8, Sapporo, Japan, 20-23 Oct. 2014. DOI:10.1109/MWP.2014.6994475.
- 安達, “スペクトルおよびエネルギー効率に優れた移動無線ネットワークの構築に向けた挑戦,” [特別招待講演]信学技報, Vol. 115, No. 123, CS2015-19, p. 55, 2015年7月.
- NTTドコモ:“ドコモ5Gホワイトペーパー:2020年以降の5G無線アクセスにおける要求条件と技術コンセプト,” Sep. 2014(https://www.nttdocomo.co.jp/corporate/technology/whitepaper_5g/).
- A. A. M. Saleh, A. J. Rustako, and R. S. Roman, “Distributed antennas for indoor radio communications,” IEEE Trans. Commun., Vol. 35, No.12, pp. 1245-1251, Dec. 1987.
- F. Adachi, K. Takeda, T. Obara, T. Yamamoto, and H. Matsuda, “Recent advances in single-carrier frequency-domain equalization and distributed antenna network,” IEICE Trans. Fundamentals, Vol.E93-A, No.11, pp.2201-2211, Nov. 2010.
- F. Adachi, K. Takeda, T. Yamamoto, R. Matsukawa, and S. Kumagai, “Recent advances in single-carrier distributed antenna network,” Wireless Commun. and Mobile Computing, Volume 11, Issue 12, pp. 1551–1563, Dec. 2011, DOI: 10.1002/wcm.1212.
- F. Adachi, W. Peng, T. Obara, T.Yamamoto, R.Matsukawa and M.Nakada, “Distributed antenna network for gigabit wireless access,” International Journal of Electronics and Communications (AEUE), Vol. 66, Issue 6, pp.605-612, 2012.
- M. Sawahashi, Y. Kishiyama, A. Morimoto, D. Nishikawa, and M. Tanno, “Coordinated multipoint transmission/reception techniques for LTE-advanced [coordinated and distributed MIMO],” IEEE Wireless Commun., Vol. 17, Issue 3, pp.26-34, June 2010.
- F. Adachi, A. Boonkajay, Y. Seki, T. Saito, S. Kumagai, and H. Miyazaki, “Cooperative Distributed Antenna Transmission for 5G Mobile Communications Network,” IEICE Trans., Vol.E100-B, No.8, pp.-, Aug. 2017. DOI:10.1587/transcom.2016FGP0019.
進化する移動無線
時間と場所の壁を超えて(ユビキタス通信の世界へ)
私達は,オフィスや自宅の机の上のデスクトップコンピュータでインタネットを使って電子メールをやり取りしたり,世界中に分散しているWWWサイトを閲覧したり,電子ショッピングをするようになりました.これは固定通信網を使ったインターネット通信です.21世紀の社会は,間違いなく世界中がインターネットで隈なく結ばれたマルチメディア社会になるはずです.しかし,いちいちデスクトップコンピュータのところまで出向くのはいかにも不便です.これでは,音声通話がインタネットに置き換わっただけで,20年前までの電話によるコミュニケーションと同じ状況と言えます.
私達は時間と場所の壁を超えて,「いつでも,どこでも,誰とでも,瞬時に,どんな情報をも」伝えたいという欲求を持っています.その実現のためには無線技術が大きな役割を果たすことになります.およそ20年程前に移動しながら通信することできるようになった携帯電話(当時は自動車電話と呼ばれていました)が登場し,通信ネットワークに大きな変化が起こりました.ほぼ10年毎に能力を飛躍的に高めた新しい世代の携帯電話が登場してきました.いまでは,1990年代に使われ出した第2世代の携帯電話を使って,盛んに電子メールのやり取りが行われるようになり,文字情報を中心としたWWWサイトを閲覧できるまでになりました.
通信速度の壁
しかし,伝送速度がデスクトップコンピュータでのインターネット通信に比べて格段に遅い.そこで,International Mobile Telecommunication Systems(IMT)-2000 [1]と言われる,情報伝送能力を飛躍的に向上させた第3世代(3G)システムが国際電気通信連合(ITU)で標準化されました.3Gシステムでは広帯域直接拡散符号分割マルチアクセス(DS-CDMA)が使われています.固定通信網と同じ品質で,現在のディジタル携帯電話(2Gシステム)よりけた違いに速い通信速度(2Gシステムの30~200倍)もの速さで情報伝送できる能力を持っています [2], [3].2001年には世界に先駆けて日本でサービスが開始され,順次日本全国へサービスが展開されています.欧州でもサービスが広がっています
超高速伝送に向けて
今や携帯電話は単なる会話のためのツールではなく,どんな情報をも伝えることのできるマルチメディア端末へと進化し続けています[4].近いうちにインターネットと携帯電話と光通信網は21世紀社会の情報基盤となるでしょう.しかし,インターネットでやり取りされる情報はますます大量になりつつあります.画像情報が含まれるようになったからです.ですから,3Gシステムで提供する2Mbpsの伝送速度では早晩,不充分となるはずです.携帯電話が本当に情報社会の通信基盤になるためには,100Mbpsクラスの伝送速度を実現するメガビット移動無線技術が必要になります.この技術が,2010年ころに登場すると言われる第4世代(4G)携帯電話の鍵になるはずです [5],[6].
4Gシステムの目標は,まもなく固定通信ネットワークでポピュラーになる次世代インターネット技術を使ったブロードバンドマルチメディアサービスを携帯ユーザに提供することです.次世代インターネットで転送される情報は,音声から高品質な静止画や動画にいたる極めて多様な情報になるでしょう.4Gシステムでは,恐らく,インターネットからの情報のダウンロードがかなりのトラフィックを占めるものと予想されますので,上りリンク(端末→基地局)と下りリンク(基地局→端末)で伝送される情報速度の差は相当大きくなるはずです.更に,すべての通信情報はパケットで伝送されることになるはずです.4Gシステムでは,3Gシステムよりはるかに高速なワイヤレス通信技術が必要になるはずです.最大通信速度は,移動環境では恐らく100Mbpsくらい,人の集まるビジネスセンター,ショッピングエリア,空港,駅構内,ホテルロビーやカフェテリアなどホットスポットエリアでは現在の無線LANをはるかに凌ぐ1Gbpsくらいの通信速度が必要になると言われています.
ネットワークが変わる
ひとつひとつの基地局から送信される電波の電力は1ワット以下ですから狭いエリアしか覆うことができませんが,携帯電話ではこのような基地局を多数配置して日本全国を覆っています.これは生物の細胞に似ていることからセルラー(細胞)システムと呼ばれています.セルの中心には基地局が配置されます.これら基地局はその上位にある無線ネットワーク制御局(RNC:Radio Network Controller)と接続されています.そして,RNCとコアネットワークとが結ばれています.セルラーシステムの重要な機能が,ユーザの位置情報を記憶する位置登録(LR:Location Register)です.これが現在のセルラーシステムの構成です.
しかし,端末の電力制限のもとで,1Gbpsに至る多様な伝送レートのサービスを提供しようとする4Gシステムでは3Gシステムとはかなり異なったシステム設計をしなければならないはずです.恐らく,4Gシステムは,全ての機能がIPネットワーク上に水平に結合されている無線LANに近い構成になるでしょう [6].
1G~4Gシステムの比較
世代 | 1G | 2G | 3G | 4G |
ワイヤレス アクセス |
アナログ |
狭帯域 ディジタル |
広帯域 ディジタル |
ブロードバンド ディジタル |
FDMA |
TDMA DS-CAMA |
DS-CDMA |
MC-CDMA DS-CDMA |
|
主サービス | 音声 | 音声 | 音声 | 音声over IP |
インターネット (主にテキスト) |
インターネット (テキスト, 高精彩動画, 静止画) |
|||
ネットワーク | 回線交換 | 回線交換 |
回線交換+ パケット交換 |
AII IP |
周波数の繰り返し
携帯電話に利用できる無線チャネル数には限りがあります.そこで,利用可能な無線チャネルをF個のチャネル群に分け,どれかひとつのチャネル群を基地局に割り当てます.7群(F=7)の例を図に示してあります.ひとつの基地局が携帯電話と通信できるエリアは正六角形で表されています.電波の強さは距離が遠くなるにつれて弱くなるという性質があるので,同じチャネル群を離れた基地局で再利用できます.このようにして,限られたチャネル数(限られた帯域幅)で日本全国を覆うことができるわけです.
マルチアクセス
セルラーシステムでは,多数のユーザが基地局と通信します.これを可能にするのがマルチアクセスという技術で,周波数分割マルチアクセス(frequency division multiple access: FDMA),時間分割マルチアクセス(time division multiple access: TDMA)と符号分割マルチアクセス(code division multiple access: CDMA) の3つがあります.通信チャネルは周波数領域,時間領域または符号領域で生成されます.最近,良く聞かれるCDMAでは,拡散符号といわれるディジタル符号系列によってチャネルを生成するのが特徴です.FDMAやTDMAと違って,全ての基地局が同じ周波数帯を共有します(すなわち,F=1です).また,全てのユーザも同じ周波数帯を共有して通信します.多様な速度の通信サービスを柔軟に提供できる,無線チャネル群の複雑な割り当て問題を回避できる,周波数利用効率が高いことなどから,CDMAはますます重要なマルチアクセス技術になるといえるでしょう
CDMAには,時間領域拡散符号を用いる直接拡散CDMA(DS-CDMA)の他,周波数をホッピングさせる周波数ホップCDMA(FH-CDMA)や周波数領域拡散符号を用いるマルチキャリアCDMA(MC-CDMA)があります.
超広帯域通信路
移動無線における電波伝搬はかなり複雑で,送信信号は様々な散乱体で反射されて受信アンテナに到達します.このような到達時間が異なる電波が多数受信されることになります.これは多重伝搬と呼ばれ,通信路状態が時々刻々変化する周波数選択性フェージング通信路になることが特徴です.このような通信路は,インパルス応答が時間と共に変化する時変の有限インパルス応答(FIR: Finite Impulse Response)フィルタとしてモデル化することができます[7].
周波数領域等化
周波数選択性の厳しい環境での100Mbps~1Gbpsクラスの無線伝送の実現は至難の技ですが,きわめてチャレンジで魅力的な研究分野と言えます.100Mbps~1Gbpsクラスの無線技術のことを私達は「ギガビット無線技術」と呼んでいます.
3Gシステムのアクセス技術としてTDMA,FDMA,CDMAの中からどれを選択するか,開発初期の数年にわたり熱心に議論されました.これと同じことが4Gシステムでも必ず起きます.ギガビット無線通信では,例え16QAM(4bps/Hz)を利用しても,250MHzの帯域幅が必要です.このような通信では,厳しい周波数選択性フェージングを受けることになります.最近注目されている技術は,多数の直交サブキャリアを用いた並列伝送とCDMAとを組み合わせたマルチキャリアCDMA(MC-CDMA)です.MC-CDMAは周波数領域等化を用いることで周波数選択性フェージングに強い信号伝送が可能で,マルチアクセス能力を持ちながらマルチレート伝送に対する融通性にも優れているからです.もちろん,DS-CDMAも有望な技術であることには変わりがありません.DS-CDMAでは長い間,Rake合成という時間領域等化が用いられてきましたが,厳しい周波数選択性フェージング環境下では伝送特性が劣化してしまうことが分かってきました.しかし,Rake合成の代わりに周波数領域等化を適用すれば,MC-CDMAとそん色ない伝送特性が実現できることが分かってきました[8].さらに,周波数ダイバーシチ効果が得られる周波数領域等化を拡散なしのシングルキャリア伝送に適用すれば,OFDM伝送よりも優れた伝送特性(無符号化時)を得ることができます[9].
MIMO技術
伝搬環境に応じて,変調方式や通信速度を適応的に変える適応信号伝送技術(自動再送(ARQ)はその1種です)も重要になるでしょう.伝搬状態が良好であるほど,より高速な伝送ができます.4Gシステムでは動画像を含む多様な情報をインターネットに接続してやり取りすることになりますから,データをパケット化して送受信することになります.ARQは大事な技術です.最近では,符号化とARQを組み合わせたハイブリッドARQが注目されています.また,複数の送受信アンテナを用いるMIMO(multi-input Multi-output)システムも大変注目されています.MIMO多重は,異なるデータ系列を同一周波数で複数アンテナから並列送信することにより通信容量(bps/Hz)の飛躍的に高めようという技術です.これから,いろいろな高度な無線技術が提案されることでしょう.これらが淘汰・改良され,4Gシステムに使えるギガビット無線技術が完成するものと思います.
分散MIMO
これまで多数のアンテナを集中して配置するMIMOの研究が殆どでしたが,エリア内の何処にいても超高速通信を提供できるよう多数のアンテナを分散配置する分散MIMOが期待されています.その一つが,私たちが研究開発に取り組んでいる分散MIMO(分散アンテナ)ネットワークです.最近の研究成果は文献[10]にまとめられています.
参考文献
- Special Issue, IMT-2000: Standards efforts of the ITU, IEEE Personal Commun., vol. 4, Aug. 1997.
- F. Adachi, M. Sawahashi, and H. Suda, “Wideband DS-CDMA for next generation mobile communications systems,” IEEE Commun. Mag., vol. 36, pp. 56-69, Sept. 1998.
- F. Adachi and N. Nakajima, “Challenges of wireless communications – IMT-2000 and beyond,” IEICE Trans. Fundamentals, vol. E83-A, pp.1300-1307, July 2000.
- F. Adachi, “Wireless past and future-evolving mobile communications systems,” to appear IEICE Trans. Fundamentals, vol. E83-A, Dec. 2000.
- 安達, “無線方式の発展と展望“, 電子情報通信学会東京支部シンポジウム: “第四世代移動通信,” 機械振興会館, 東京, 2000年9月19日.
- F. Adachi, “(Keynote) Perspective of mobile communications,” 7th International Conference on Communication Systems (ICCS’00), Singapore, Nov. 22-24, 2000.
- 安達, “ディジタル移動無線の基礎,” 東北大学工学部電気・情報系短期研究室研修用資料より抜粋.
- F. Adachi, D. Garg, S. Takaoka, and K. Takeda, “Broadband CDMA techniques,” (invited) Special Issue on Modulation, Coding and Signal Processing, IEEE Wireless Commun. Mag., Vol. 12, No. 2, pp. 8-18, April 2005.
- F. Adachi, Kazuki Takeda, and H. Tomeba, “Frequency-Domain Equalization for Broadband Single-Carrier Multiple Access,” IEICE Trans. Commun., Vol.E92-B, No. 05, pp. 1441-1456, May 2009.
- F. Adachi, A. Boonkajay, Y. Seki, T. Saito, S. Kumagai, and H. Miyazaki, “Cooperative Distributed Antenna Transmission for 5G Mobile Communications Network,” IEICE Trans., Vol.E100-B, No.8, pp.-, Aug. 2017. http://doi.org/10.1587/transcom.2016FGP0019.